2011/12/25

原爆症認定集団訴訟とは

 被爆者306名が原告となって、政府・厚労省を相手に2003年4月にスタートした原爆症認定集団訴訟は、2006年の大阪地裁での全面勝訴を皮切りに、全国17ヶ所の地方裁判所で次々と勝利を積み重ね、政府を相手にした裁判としては過去に例のない29勝を記録、勝訴率は90%を超えました。

 1994年に定められた「被爆者の援護に関する法律」は、その第1条で「被爆者とは被爆者健康手帳の交付を受けたものとし、その前文で「原子爆弾の放射能に起因する健康被害に苦しむ被爆者に対する、保険、医療、および福祉にわたる総合的な援護策を講じ」と定めています。

 広島・長崎で被爆した人々は、60余年を経てもさまざまな健康被害に苦しみ、生活不安を抱えています。援護法にもとづいて具体的な支援を受けたいと願う被爆者たちは、厚労省に自らの病気を”原爆症”として申請して、審査を受けて認定されてはじめて医療特別手当の支給などの支援を受けることができます。これが、“原爆症認定制度”です。

 ところが、アメリカの核政策を容認する日本政府は、原爆被害をできるだけ狭く小さなものにとどめようとして、認定被爆者を限定して来ました。2003年当時、被爆者手帳を持つ25万人余の被爆者のうち、原爆症認定はわずか1%に達していませんでした。
 
 被爆した当時は幼い子どもや青年だった被爆者たちは、核被害を小さく制限する国の認定制度を放置すれば、ふたたび核兵器を使用する道につながりかねないと考えました。そして、2003年の4月に国を相手に原爆症認定集団訴訟を起します。
 
 この集団訴訟は全国の被爆者が、法廷で「被爆の実相」を明らかにすることによって、国に原爆症を認めさせ、核兵器をなくすことに寄与したいとして提起した裁判でした。

原爆症とは、原子爆弾(原爆)による被災による健康障害の総称です。原爆による被害には三つのものがあります。①原子爆弾の熱線、爆風による創傷、熱傷。②放射線被曝による急性放射線障害(発熱や下痢、脱毛など)。③放射線被曝による晩発性障害(がんや白血病、白内障、瘢痕(はんこん)などがあります。

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